取引先から期日現金を持ちかけられ、受け入れを悩んでいる方もいるのではないでしょうか。期日現金は受取側企業(売り手企業)の資金繰りに影響するため、売掛取引を行う事業者は、その仕組みを正しく理解しておくことが重要です。
本記事では、期日現金の仕組みや手形決済・でんさいとの違い、メリット・デメリットを解説します。受取側企業が期日現金のリスクを回避する手段となる「ファクタリング」についても紹介するので、ぜひご覧ください。
目次
期日現金とは 期日現金取引を行うメリット 期日現金取引を行うデメリット 期日現金を提案された際に確認すべきこと ファクタリングは期日現金の未回収リスクに備える手段として有効 AGビジネスサポートのファクタリングは最短即日の資金調達が可能 期日現金取引は慎重に行おう期日現金とは
期日現金とは、売掛取引における支払方法のひとつで、あらかじめ決められた期日(90日後や120日後など)に現金で決済する方法です。支払サイトが長めに設定されることが多いため、通常よりも支払期日を後ろ倒しにする取引を指す場合もあります。
近年、中小企業庁が事業者に対して支払サイトを60日以内に短縮するよう要請していることなどを背景に、手形決済から期日現金に変更される事例も見られています。
そのため、売掛取引を行ううえでは、期日現金取引の仕組みを正しく理解することが不可欠です。
なお、期日現金は、「期日指定現金払い」や「延現金(のべげんきん)」などと呼ばれることもあります。
期日現金と振込みの違い
振込みとは、指定の銀行口座に資金を移動させることです。期日現金取引でも、支払手段として振込みが用いられる場合があります。
通常の振込みでは、依頼されたタイミングですぐに送金されますが、期日現金取引では支払サイトが長く設定されているため、すぐには送金されません。
期日現金・手形決済・でんさい(電子記録債権)の違い
売掛取引の支払方法には、手形決済やでんさい(電子記録債権)もあります(※)。主な違いは以下のとおりです。
| 項目 | 期日現金 | 手形決済 | でんさい |
|---|---|---|---|
| 仕組み | 現金で後払いする | 手形を振り出して支払う | 電子記録で債権を管理し、金融機関経由で決済する |
| 債権の証書 | 証書化されない | 有価証券(手形)を発行する | でんさいネットの記録原簿に「発生記録」を行う |
| 債権の譲渡 | 可 | 可 | 可(分割して譲渡することも可能) |
| コスト | 少ない | 手形発行・受取り・管理のコストがかかる | でんさいの手数料がかかる |
| 法的効力 | 取引停止処分制度がある手形と比べると支払遅延に対する抑止力が弱い | 手形交換所規則に基づく取引停止処分制度がある | 電子記録債権法に基づく効力がある |
手形とは、特定の期日に支払うことを約束した有価証券です。また、でんさいは、「でんさいネット」(株式会社全銀電子債権ネットワーク)が運営するシステムで、債権を電子的に記録・管理する仕組みです。
契約に基づいて、請求書をもとに現金で後払いする「期日現金」に対し、手形は有価証券を発行して決済する方法であり、でんさいはWEB上で管理・決済を行います。
日本では、企業間取引の代表的な決済手段として長く手形が用いられてきました。しかし、政府が2021年の「成長戦略実行計画」のなかで、5年後(2026年)に紙の手形の廃止を目指す方針を示し、手形に代わる新たな決済手段としてでんさいの活用が広がっています。
(※)
「でんさいⓇ」は、株式会社全銀電子債権ネットワークの登録商標です。
期日現金取引を行うメリット
期日現金取引は手続きがかんたんで、コストを抑えやすい取引方法です。主に以下のメリットが得られます。
- 事務コストを削減できる
- 支払側企業は一時的に資金繰りを改善できる
ただし、受取側企業にとってのメリットは限定的です。
事務コストを削減できる
期日現金取引では、手形を発行する必要がないため、以下のようなコストが発生しません。
| 支払側企業 |
・手形帳の発行代金 ・手形の印紙税(収入印紙代) ・手形の郵送料 |
|---|---|
| 受取側企業 |
・銀行取立手数料 ・領収書の印紙税(収入印紙代) |
また、手形の発行・受取や管理にかかる人件費も削減できます。
支払側企業は一時的に資金繰りを改善できる
期日現金取引では、取引先との関係や交渉などによって支払サイトが決まりますが、一般的な取引よりも長めに設定される傾向があります。
そのため、支払側企業の手元資金に余裕が生まれ、一時的に資金繰りが改善されます。支払代金を準備する期間を確保できるため、計画的な資金管理もしやすくなるでしょう。
期日現金取引を行うデメリット
期日現金取引を行うと、支払側企業にとっては資金繰り改善のメリットがあるいっぽうで、受取側企業にとっては債権未回収リスクなどが伴います。
期日現金取引を行う主なデメリットは以下のとおりです。
- 現金化までに時間がかかる
- 受取側企業の債権未回収リスクが高まる
現金化までに時間がかかる
期日現金取引で支払サイトが長く設定されると、受取側企業にとっては現金化までの時間が長くなり、資金繰りが悪化する可能性があります。
期日現金取引が増えると、入金までの間に手元資金が不足し、仕入先や従業員への支払い遅延が発生するほか、設備投資などに対応できず、事業運営に支障をきたすリスクが高まります。
受取側企業の債権回収リスクが高まる
期日現金取引では、支払期日になっても支払いがない場合、手形のように法的手段で回収できる仕組みがありません。
支払いに対する強制力が弱いため、支払側企業の資金繰りが悪化した場合には、手形やでんさいによる取引と比べて、支払いを後回しにされる可能性が高くなります。
その結果、自社の手元資金が不足したり、支払遅延によって信用低下につながったりするリスクがあります。
期日現金を提案された際に確認すべきこと
受取側企業は、期日現金を持ちかけられた際に、受け入れるかどうかを慎重に検討する必要があります。確認すべき主なポイントは以下のとおりです。
- 資金繰りに余裕があるか
- 支払サイトを短縮できるか
- 「下請代金支払遅延等防止法」に抵触しないか
資金繰りに余裕があるか
期日現金取引を受け入れる際は、資金繰りに余裕があるかどうかを確認することが重要です。
受取側企業は、入金までの間も仕入代金や人件費などの支払いを自社でまかなう必要があり、特に支払サイトが長いと、手元資金が不足しやすくなります。
順調に利益が出ていても、売掛金が増えて資金繰りが追いつかないケースもあるため、入金までの期間に発生する支払いを手元資金でまかなえるか、支払いが重なる時期に資金がショートするリスクがないかなどを慎重に検討しましょう。
支払サイトを短縮できるか
支払サイトが短いほど、入金までの期間が短くなり、資金繰りが悪化するリスクを回避しやすくなります。
支払サイトの短縮を交渉する際は、取引先の都合も考慮したうえで、具体的に提案することがポイントです。以下のようなポイントを押さえ、慎重に交渉を進めましょう。
- 具体的な日付を示す
- 自社の資金繰りの状況を説明する
- 取引先にどのようなメリットがあるかを説明する
- 取引先の都合も踏まえた代替案を用意しておく
「中小受託取引適正化法」に抵触しないか
中小受託取引適正化法(通称:取適法)が適用される取引の場合、支払サイトが60日を超える期日現金は法令違反となります。
取適法とは、中小受託取引の公正化と受託側の中小企業の利益保護の強化を目的とした法律です。従来の「下請代金支払遅延等防止法(下請法)」の適用対象となる取引や事業者の範囲を拡大したもので、令和8年1月1日から施行されます(※)。
取適法が適用される取引において、委託事業者は、給付を受けた日から60日以内に製造委託等代金を支払わなければなりません。
取適法が適用されるのは、一定の委託事業者が中小受託事業者に物品の製造などを委託した場合です。
①物品の製造・修理・特定運送を委託した場合
| 委託事業者 | 中小受託事業者 |
|---|---|
| 資本金3億円超 | 資本金3億円以下(個人含む) |
| 資本金1,000万円超3億円以下 | 資本金1,000万円以下(個人含む) |
| 常時使用する従業員300人超 | 常時使用する従業員300人以下(個人含む) |
②情報成果物の作成・役務の提供を委託した場合
| 委託事業者 | 中小受託事業者 |
|---|---|
| 資本金資本金5,000万円超 | 資本金5,000万円以下(個人含む) |
| 資本金1,000万円超5,000万円以下 | 資本金1,000万円以下(個人含む) |
| 常時使用する従業員100人超 | 常時使用する従業員100人以下(個人含む) |
出典:
公正取引委員会「中小受託取引適正化法(取適法)関係」
取適法の施行によって、従来の下請法よりも対象事業者・取引の範囲が広くなるため、自社の取引が規制対象に該当するかどうかをあらためて確認することが重要です。
(※)
下請代金支払遅延等防止法(下請法)は、下請事業者の利益を守り、取引の適正化を推進するために制定された法律です。
ファクタリングは期日現金の未回収リスクに備える手段として有効
期日現金取引が増えると、受取側企業にとっては資金繰りが悪化したり、経営に影響が及んだりするリスクが高まります。こうしたリスクに備える手段として、「ファクタリング」が活用できます。
ファクタリングとは、事業者が保有する売掛債権をファクタリング会社に売却し、支払期日前に現金化するサービスです。期日現金の売掛金をファクタリングで現金化することで、主に以下のメリットが得られます。
- 早期に現金化できる
- 売掛債権の未回収リスクを回避できる
- 売掛先の信用力に重点をおいた審査が実施される
- 取引先の承諾なしで利用できる
ファクタリングを利用すれば、入金期日前に資金化でき、資金繰りの改善を図れます。また、ファクタリングでは通常ノンリコース契約を結ぶため、万が一売掛債権を回収できなくなっても、利用者に原則支払義務が発生しません。そのため、未回収リスクを回避しつつ、迅速に資金を調達する手段として有効です。
さらに、ファクタリングには2社間取引と3社間取引があり、前者は利用者とファクタリング会社の2社間で契約を結ぶため、取引先への開示が不要です。したがって、取引先にファクタリングの利用を知られたくない事業者も利用できます。
AGビジネスサポートのファクタリングは最短即日の資金調達が可能
アイフルグループのAGビジネスサポートでは、申込みから契約までの手続きがWEBで完結し、最短即日の資金化が可能な「売掛債権ファクタリング」を提供しています。
2社間取引・3社間取引に対応しており、赤字決算の場合や開業1年未満の方、税金の未納がある方でも買取の検討が可能です。また、ノンリコース契約を結ぶ完全買取型なので、取引先様の破綻リスクはAGビジネスサポートが負担します。
債権の未回収リスクを回避したい場合や早期に資金を調達したい事業者様は、ぜひAGビジネスサポートをご検討ください。
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期日現金取引は慎重に行おう
期日現金とは、売掛金の支払方法のひとつで、一般的に支払期日を一定期間後ろ倒しにして現金で支払う方法を指します。支払サイトが長めに設定される傾向があるため、支払側企業は一時的に資金繰りの改善を図れます。
いっぽうで、受取側企業にとっては入金までの期間が長く、資金繰りが悪化する可能性がある取引方法です。また、取引停止処分制度がある手形と比べると支払遅延に対する抑止力が弱いため、支払側企業の資金繰りが悪化すると、未回収リスクが高まります。
期日現金を打診された場合は、資金繰りの状況などを踏まえて慎重に検討し、必要に応じてファクタリングなどの手段も検討しましょう。
ファクタリングは、最短即日の資金化に対応しているサービスもあり、入金期日を待つことなく早期の資金化が可能です。また、ノンリコース契約を結んだ場合、売掛金の未回収リスクを回避できます。
AGビジネスサポートでは、電話での問合せも受付けているので、ぜひご相談ください。
