事業をはじめるためには、開業資金(設備資金や諸費用)が必要です。
しかし、これから事業をはじめる方のなかには、「どのくらい用意すればよいか」「融資を受けたほうがよいか」「どこから借りればよいか」など、不安に感じている方もいるのではないでしょうか。
スムーズに事業を開始できるように、ご自身に合った資金調達手段を理解しておきましょう。
本記事では、開業資金の目安や開業・起業時に利用できる融資制度や資金調達手段を解説します。
目次
開業資金はいくら必要? 開業・起業時に利用できる創業融資とは? 開業資金に利用できる創業融資の種類 創業融資を受けるときの注意点 創業融資以外の資金調達方法 新たに事業を開設予定の方は「AGビジネスサポート」へご相談を 開業資金に関するよくある質問 まとめ開業資金はいくら必要?
開業資金とは、事業に必要な機械などを購入する設備資金や登記費用などの諸費用のことで、業界や事業の形態、規模などによって、いくら必要になるかは異なります。
日本政策金融公庫の「2024年度新規開業実態調査」によると、開業費用は平均985万円となっています。分布を見ると、4割超が500万円未満、500万~1,000万円未満の割合は2023年度の28.4%からやや上昇して30.7%となりましたが、長期的に見ると少額化の傾向です。
また、開業時の資金調達額(平均1,197万円)の内訳を見ると、「金融機関等からの借入れ(65.2%)」と「自己資金(24.5%)」で全体の約9割を占める結果でした。
開業・起業時に利用できる創業融資とは?
創業融資とは、新たに事業をはじめる方や事業を開始して間もない方が利用できる融資制度のことです。
開業・起業時は、事業実績が乏しいなどの理由で資金調達が難しいことも珍しくありませんが、創業融資は新規開業・スタートアップ支援を目的としており、事業実績が少ない状況でも融資を受けやすいように設計されています。
開業・起業する場合、状況に応じて融資を検討することが重要です。以下では、融資を検討したほうがよい理由を解説します。
予想外の費用に備えることができる
開業資金は、大きく設備資金と諸費用に分けられます。
- 設備資金:事業に必要な機械・備品の導入費用など
- 諸費用:開業準備に必要な備品、事務用品、開業に必要な事務手続きや登記関連費など
特に設備資金は、業界や事業形態などによって異なるほか、開業時は事業の将来を予測しにくく、予想外の費用がかかることも考えられます。融資を受けることで、予想外の費用が発生した場合に自己資金で対応できる可能性が高まります。
事業が軌道に乗るまでの運転資金を確保できる
運転資金は、事業を行うために必要な変動費や固定費のことです。
- 変動費:材料費、仕入れ費用、消耗品費など
- 固定費:人件費、家賃、光熱費など
開業してから事業が軌道に乗るまでは時間がかかることも珍しくなく、一般的に開業時に必要な運転資金は、1ヶ月にかかる変動費と固定費の3ヶ月~6ヶ月分が必要とされています。
創業融資は運転資金として融資を受けることも可能なため、余裕を持った運転資金を準備できます。
開業資金に利用できる創業融資の種類
創業融資には、国が管轄する「日本政策金融公庫」の融資と、自治体が金融機関や信用保証協会と連携して行う「制度融資」があります。以下では、それぞれの融資制度の特徴を解説します。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は、民間金融機関を補完する目的で国が運営している政策金融機関です。
中小企業や個人事業主に幅広く事業資金を貸し付けており、開業資金を調達したいときは「新規開業資金」や「挑戦支援資本強化特別貸付(資本性ローン)」が検討できます。
日本政策金融公庫では、新たに事業をはじめる方、または事業開始後に税務申告を2期終えていない方が融資を受ける場合、原則として担保・保証人は不要です。また、金利が一律年0.65%(雇用の拡大を図る場合は0.9%)優遇されます。 .65%(雇用の拡大を図る場合は0.9%)優遇されます。
新規開業資金
新規開業資金は、新たに事業をはじめる方、または事業開始後おおむね7年以内の方を対象とした融資制度です。7,200万円(うち運転資金4,800万円)を限度に設備資金、運転資金を借入れできます。
金利は、担保の有無や返済期間などによって異なりますが、女性や若者(35歳未満)、シニア(55歳以上)の場合や、Uターンで新たに事業をはじめる場合など、一定の条件を満たすと優遇金利が適用されます。
なお、生活衛生関係の事業(飲食店、理容業、美容業、旅館業、クリーニング業など)をはじめる方、または事業開始後おおむね7年以内の方は、「生活衛生新企業育成資金」が利用可能です。
挑戦支援資本強化特別貸付(資本性ローン)
挑戦支援資本強化特別貸付(資本性ローン)は、開業などに取組む中小企業や個人事業主で、地域経済活性化のための事業に取組む方が担保・保証人不要で借入れできる制度です。
新規開業資金などの融資制度の対象となる方で、以下の要件を満たす場合に申込みができます。
- 地域経済活性化にかかる事業を行うこと
- 税務申告を1期以上行っている場合、原則として所得税等を完納していること
挑戦支援資本強化特別貸付(資本性ローン)の大きな特徴は、融資でありながら、金融機関の資産査定上、借入金ではなく「自己資本」とみなされる点です。自己資本比率がよくなるため、追加の融資を受けやすくなる可能性があります。
また、借入期間中は利息のみを支払う点や、業績が厳しいときに金利が下がる点も特徴です。
制度融資
自治体が中小企業や個人事業主の円滑な資金調達をサポートする目的で、金融機関や信用保証協会と連携して行う融資制度を「制度融資」といいます。
信用保証協会とは、返済不能となった場合に債務者に代わって残債を返済する公的機関のことです。信用保証協会による保証を受けることで、金融機関が貸付金を回収しやすくなるため、中小企業や個人事業主が融資を受けやすくなります。
制度融資によっては、一般的な金融機関の融資よりも低金利で借入れできる場合があります。
ただし、利息に加えて信用保証料の負担が生じる点には注意が必要です。また、制度融資は自治体、金融機関、信用保証協会が関わるため、融資に時間がかかる傾向があります。
制度融資の利用を検討している方は、制度融資の取扱金融機関や信用保証協会に相談してみましょう。
創業融資を受けるときの注意点
創業融資を受ける際には審査が実施されるため、以下の点に注意が必要です。
- 一定の自己資金を準備しておく
- 事業計画書の作成・提出が必要
それぞれ解説します。
一定の自己資金を準備しておく
創業融資を受ける場合、ある程度の自己資金割合が定められていることが多いです。そのため、融資を受ける場合であっても、一定の自己資金を準備しておくことが重要です。
そもそも、融資のみで開業資金を賄おうとすることは現実的ではありません。一般的に開業時の自己資金は、開業資金総額の3割~5割程度が必要とされているため、目安として覚えておきましょう。
事業計画書の作成・提出が必要
創業融資を受ける際には、ご自身で事業計画書を作成して提出する必要があります。
事業計画書は、事業内容や資金の使いみちを説明するための重要な書類となるため、正確かつ記載漏れがないように作成することが大切です。そのため、事業計画書の作成が不安な場合は、専門家への相談を検討しましょう。
創業融資以外の資金調達方法
開業資金を調達する方法には、創業融資以外にもいくつかあります。主な資金調達方法は以下のとおりです。
- 自治体の補助金・助成金制度
- ベンチャーキャピタル
- クラウドファンディング
- ビジネスローン・不動産担保ローン
それぞれを詳しく解説します。
自治体の補助金・助成金制度
自治体によっては、制度融資とは別に創業者向けの補助金・助成金制度を実施している場合があります。補助金や助成金は、融資とは異なり返済が不要です。
一般的に対象や条件が厳しい傾向にありますが、たとえば東京都では、都内で創業予定の方、または創業後5年未満の中小企業者や個人事業主に対して創業初期にかかる経費の一部を助成する「創業助成事業」を行っています。助成上限額は助成対象経費の3分の2、かつ400万円です。
補助金・助成金制度の種類や対象者、補助・助成内容などはそれぞれ異なるため、詳しくは各自治体のホームページを確認しましょう。
ベンチャーキャピタル
ベンチャーキャピタル(VC)とは、未上場のベンチャー企業やスタートアップ企業に出資を行う投資会社やファンドのことです。将来の成長性などを見込んで出資を行うため、金融機関からの融資が難しい場合でも資金を調達できる可能性があります。
また、ベンチャーキャピタルから受けた出資金は借入金ではないため、返済の必要がありません。
ただし、ベンチャーキャピタルは未上場の段階で株式を取得し、上場または成長した際に売却して値上がり益を得ることを目的としているため、出資に見合う利益を生み出すことが求められます。
なお、ベンチャーキャピタルには金融機関系、独立系、政府系、地域系などさまざまな種類があり、それぞれ投資対象や投資方針が異なります。
クラウドファンディング
新たな資金調達方法のひとつとして、クラウドファンディングが定着しつつあります。
クラウドファンディングは、「群衆(crowd)」と「資金調達(funding)」を組み合わせた造語です。事業計画や目的をWEB上で公表し、それに賛同してくれた不特定多数の方から少額ずつ資金を集める調達方法を指します。
比較的少額から出資できるため、多くの方から資金を集めることが可能です。
クラウドファンディングには、対価性のない「寄付型」や商品やサービスを受取る「購入型」、株式や分配金を受取る「金融型」があり、それぞれ特徴が異なります。
クラウドファンディングは、融資を受けることが難しい方でも資金調達ができる可能性があるほか、商品の宣伝効果が期待できるなどのメリットがあります。しかし、目標額に到達しなければプロジェクトが成立せず、資金を集められないなどの注意点もあります。
ビジネスローン・不動産担保ローン
中小企業や個人事業主を対象としたビジネスローンや不動産担保ローンのなかには、開業時や開業後間もない方でも利用できるものがあります。
ビジネスローンとは、主に銀行やノンバンクなどが扱う、事業資金を借りるためのローン商品です。
原則として、事業資金であれば運転資金や設備資金など具体的な使いみちに制限がなく、担保・保証人不要で融資が受けられます。また、商品によっては最短即日融資に対応している場合もあります。
いっぽう、不動産担保ローンは、不動産を担保に融資を受けるローン商品です。無担保ローンと比べて金利が低く、より高額・長期の借入れができる傾向にあります。
ただし、開業資金に利用できないビジネスローン・不動産担保ローンもあるため、申込条件をよく確認しましょう。
新たに事業を開設予定の方は「AGビジネスサポート」へご相談を
AGビジネスサポートでは、新たに事業を開始予定、または創業後1年未満の法人および個人の方へ不動産担保開業支援ローン(詳細はこちら)を提供しています。
不動産を担保として提供いただくことで、最高1億円(個人事業主は5,000万円)まで融資が可能です(※1)。また、最短1日で簡易診断結果をお知らせでき、最短3日で融資できるため、資金調達を急ぐ方にもご検討いただけます(※2)(※3)。
開業を検討している方や開業したばかりで資金を用意したいと考えている方は、一度AGビジネスサポートへご相談ください。
(※1)
本審査の結果、ご希望にそえない場合もございます。
(※2)
申込時間帯によっては対応できない場合があります。
(※3)
法人契約の場合は原則代表者の連帯保証が必要です。また、担保提供者の連帯保証が必要な場合があります。
開業資金に関するよくある質問
開業を検討している方に向けて、よくある質問を紹介します。
- 自己資金ゼロでも資金調達できる?
- 自己資金だけで開業できる?
それぞれを詳しく解説します。
自己資金ゼロでも資金調達できる?
自己資金ゼロでも融資を受けられる可能性はありますが、融資額が低くなる傾向があります。また、無理なく返済していくためにも、ある程度の自己資金を用意することが重要です。
日本政策金融公庫の「2024年度新規開業実態調査」によると、開業の資金調達額に占める自己資金の割合は平均24.5%でした。自己資金がいくらあればよいか一概にはいえませんが、目安にするとよいでしょう。
ただし、融資制度によっては、ある程度の自己資金割合を融資条件としている場合があります。また、自己資金とはご自身で準備したお金のことで、親族や知人から借りたお金は含まれません。
自己資金だけで開業できる?
設備投資を伴わない事業などで、そこまで開業資金が必要でなければ、自己資金のみで開業できる可能性があります。
ただし、事業をはじめるときは開業後の当面の運転資金や生活費も考慮しておかなければなりません。開業資金がいくら必要かだけでなく、開業後の資金も含めて計画を立てることが大切です。
まとめ
事業をはじめようとするとき、形態や規模によっては多額の開業資金が必要になる場合があります。また、開業時にかかる費用だけでなく、当面の運転資金や生活費も考慮しておかなければなりません。
開業資金の調達が必要なときは、日本政策金融公庫の創業者向け融資や自治体の制度融資が検討できます。また、資金調達を急ぐときはビジネスローンや不動産担保ローンの利用を検討するとよいでしょう。
