売却したあとも住み慣れた自宅に住むことができるリースバックは、まとまった資金と慣れ親しんだ自宅での生活を手にできる住宅取引として注目を集めています。
しかし、リースバックを利用すると自宅の所有権はリースバック事業者に移るため、ご自身の希望どおりに住み続けられるのか気になる方もいるかもしれません。
本記事では、リースバック後に何年くらい住めるのか、実際のデータなどから解説します。さらに契約後に自宅で暮らすにあたって、知っておきたい条件や注意点をあわせて解説します。
目次
リースバックの契約後は何年住める? 契約次第で何年住めるか変わる 契約期間を満了する前に退去を迫られるケース 更新時の契約内容変更により退去するケースも リースバックした家に住み続けるために気をつけること リースバックした家に住み続ける方法 リースバックの契約に関する注意点 よくある質問 希望に応じて「住み続けられる」リースバック事業者を選ぼうリースバックの契約後は何年住める?
2018年に実施されたリースバック事業者へのアンケートによると、リースバック利用者の半数以上が「3年以内」の賃貸借契約を結んでいるとの結果が出ています※。
リースバック契約で多くみられる契約期間
- 1年未満(定期建物賃貸借のみ):7.1%
- 1年:7.1%
- 2年:28.6%
- 3年:50.0%
- 3年超:7.1%
期間の定めのない契約はほとんどなく、2~3年の期間を定めた賃貸借契約となるケースが多いようです。
しかし、リースバックで売却した自宅に住める期間が2~3年とは限りません。リースバック後も自宅に何年住めるかを決める要因のひとつは、賃貸借契約の形態です。
賃貸借契約には2つの形態があり、どちらで契約するかによって、売却した自宅での賃貸期間、つまり「住み続けられる期間」が決まります。
※出典:
株式会社価値総合研究所「リースバックの現状について」
リースバックの流れ
リースバックを契約すると、住宅を売却した資金を得ながら、売却後も自宅に住み続けられます。売却後は住宅の所有権がリースバック事業者に移るため家賃を払う必要がありますが、固定資産税などの税金や火災保険料などの維持費は不要です。
リースバック契約のおおまかな流れは、以下のとおりです。
- リースバック事業者と売買契約を交わして自宅を売却する
- リースバック事業者がリースバック利用者(自宅の居住者)に売却代金を支払う
- リースバック事業者とリースバック利用者が賃貸借契約を結ぶ
- リースバック利用者がリースバック事業者に毎月家賃を支払い、自宅にそのまま暮らし続ける
このように、住み慣れた住宅でリースバックをする前と変わらない生活を続けられるメリットがあるとはいえ、自宅の所有権を手放すことになるため、いくつかの制約があります。
たとえば、新しい設備の設置やリフォームなどはリースバック事業者の許可なくできません。また、契約内容によってはご自身が希望する期間住み続けられない可能性もあります。ご自身が希望する期間住み続けるには、契約内容の入念な確認が重要です。
契約次第で何年住めるか変わる
リースバックの賃貸借契約には、「普通借家契約」と「定期借家契約」の2種類があります。どちらも一般的な賃貸借契約にも使われるもので、主に次の違いがあります。
| 普通借家契約 | 定期借家契約 | |
|---|---|---|
| 更新の有無 | 正当事由がない限り更新※ | 期間満了により終了し、更新がない (ただし、再契約は可能) |
| 契約方法 | 書面による契約でも、口頭による契約のいずれでも可(口頭の合意だけでも契約は成立するが、紛争を防止する観点から、契約書を作成し契約条件を明確にしておくことが望ましい) |
|
| 期間を1年未満とする建物の賃貸借の効力 | 期間の定めのない賃貸借とみなされる | 1年未満の契約も有効 |
| 借賃の増減に関する特約の効力 | 特約に関わらず、当事者は、借賃の額の増減を請求できる | 借賃の増減は特約の定めに従う |
| 貸借人の中途解約の可否 | 中途解約に関する特約があれば、その定めに従う |
|
※
正当事由の判断は、以下を考慮して行われます。
- 建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む)が建物の使用を必要とする事情
- 建物の賃貸借に関する従前の経過
- 建物の利用状況及び建物の現況
- 建物の賃貸人が建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出
※出典:
国土交通省「定期借家制度(定期建物賃貸借制度)をご存じですか…?」
どちらの契約方式を選ぶかによって、リースバック契約後に何年住めるかが変わってくるため、慎重に選びましょう。
以下の記事では、リースバックの賃貸借契約を詳しく解説しているため、併せてご確認ください。
普通借家契約
普通借家契約は、原則として借主が希望する限り更新できる契約です。借主の権利が強く守られる契約で、貸主の都合による契約解除は基本的に認められていない点が特徴です。
貸主は、正当な事由がない限り契約更新を拒めません。貸主が契約更新を拒否できる正当事由として考えられるのは以下のとおりです。
- 建物の老朽化
- 借主が物件に住んでいない
- 借主に他に利用できる物件がある
- 貸主にどうしても物件を利用しなければならない事情がある
ただし、正当事由があったとしても、借主の事情が優先されやすいです。つまり、普通借家契約では、家賃を支払っており問題を起こしていない場合、何年でも住み続けられます。
リースバックを契約してからも、同じ家に長く住み続けたいと考えている場合は、普通借家契約を選ぶのがおすすめです。
なお、普通借家契約は1年以上で設定する必要があります。契約期間を1年未満とすると、期間の定めのない賃貸借契約とみなされます。
定期借家契約
普通借家契約は原則として何年でも住めるのに対し、定期借家契約では住める期間が定められています。契約時にあらかじめ決められた期間を満了すると、更新せずに賃貸借契約は終了します。
契約期間が1年以上の場合は、期間満了の1年前~6ヶ月前までに、貸主は借主に対して契約終了を通知する義務があります。
契約を満了しても、貸主と借主の合意があれば再契約が可能です。つまり、借主が再契約を望んでも、貸主にその意向がなければ再契約はできません。
定期借家契約のリースバックの場合も、リースバック事業者が再契約に合意すれば住み続けられます。しかし、再契約を拒まれると、契約期間が終わり次第、原則として退去しなければなりません。
また、更新ではなく再契約なので、リースバック契約ができた場合でも契約内容が変更される場合があります。初回契約時よりも高い家賃を提示されるケースもあるため、注意が必要です。
契約期間を満了する前に退去を迫られるケース
リースバックで結ぶ賃貸借契約が普通借家契約・定期借家契約に関わらず、契約満了前に退去を迫られるケースもあります。
そこで、リースバックで賃貸生活をしている期間中に退去を迫られるケースを紹介します。
ケース①家賃の滞納
リースバックを利用して自宅を売却したあとも同じ住宅で暮らすには、新たな持ち主であるリースバック事業者へ家賃を支払う必要があります。
家賃を滞納すると、賃貸借契約の満了前でも住宅からの退去を求められる可能性があります。
一般的に、家賃を滞納したからといきなり退去にはなりませんが、督促などを経て、おおむね3ヶ月の滞納で「契約解除通知」を出されます。
退去となれば大切な住まいを失うため、家賃に不安があればできるだけ早いうちにリースバック事業者へ相談しましょう。
ケース②リースバック事業者による所有権の譲渡
リースバックを契約したあとは、自宅の所有権がリースバック事業者に移ります。契約相手であるリースバック事業者が持ち主であれば、賃貸住宅として暮らすにあたって安心でしょう。
しかし、リースバック事業者の経営方針の変更や経営難、倒産などにより、住宅の所有権が第三者に譲渡される可能性もあります。
住宅の所有権が第三者に移っても、賃貸借契約の内容はそのまま引き継がれます。
しかし、所有者が変わると、賃貸借契約の内容がいつ変更されるか不透明な状況になります。家賃の増額や突然の契約満了などにも備える必要があるでしょう。
リースバック契約を検討するときには、多くの実績を持ち、経営の安定した信頼できる事業者を選ぶことが、転売リスクを低減するポイントとなります。
更新時の契約内容変更により退去するケースも
賃貸借契約の期間を満了したあとも、引き続き住み続けるには、リースバック事業者と再び賃貸借契約を結ぶ必要があります。
ただし、契約内容が以前と同じものになるとは限りません。また、ご自身のライフステージの変化により、業者に対して希望する条件が変わる可能性もあります。
新しい契約内容に関してリースバック事業者と折り合いがつかなければ、契約はできず、住宅から引っ越さなければならない場合もあるでしょう。
家賃の大幅な値上げや、将来の買い戻しに関する条項の撤廃などを求められて、不本意ながら退去せざるを得ないケースも考えられます。
契約の更新にあたっては、リースバック事業者にご自身の希望をはっきりと伝え、よく相談してお互いが納得できる内容での更新が大切です。
リースバックした家に住み続けるために気をつけること
リースバックした家に長く住み続けるために気をつけたい点は以下のとおりです。
- 複数のリースバック事業者に相談して、信頼のできる事業者を選ぶ
- 将来の生活や資金など、さまざまなケースをシミュレーションする
- リースバック事業者に要望や疑問などをしっかり伝えて契約に反映させる
- 契約締結前に、契約の種類や契約期間、更新、再契約の条件などの説明を受け、納得したら契約する
長く住み続けられるかは、どんな契約をするかで変わってきます。しっかりと相談して、検討してからリースバック契約をしましょう。
リースバック契約時に締結する契約書に関して、知っておきたいポイントを以下の記事で解説しているため、併せてご確認ください
リースバックした家に住み続ける方法
リースバックした自宅に長く住み続けたい場合や、長く住む可能性がある場合に、どんな契約をすればよいでしょうか。具体的に検討したい方法を紹介します。
リースバック事業者は、原則として更新が保証される普通借家契約、もしくは定期借家契約でも再契約に制限を設けない契約が可能な事業者を選ぶと安心です。また、ずっと住みたい場合は買い戻しも選択肢に入れておきましょう。
原則無条件で契約を更新できる普通借家契約を選ぶ
契約した時点でできるだけ長く同じ家で暮らしたいとの希望がある場合は、定期借家契約ではなく、普通借家契約でのリースバック利用がおすすめです。
前述のとおり、普通借家契約であれば、借り手の希望に応じて繰り返し契約を更新できます。
また、いつまで住むか明確に決まっていないときや、買い戻しを予定していて資金を準備する期間を確保したいときにも、普通借家契約の方が便利です。普通借家契約の場合、契約の満了や更新をそのときの状況に応じて臨機応変に決められます。
AG住まいるリースバックは普通借家契約のため、お客様のご希望があれば住み続けることが可能です。長く住みたいとお考えの場合は、ぜひご相談ください。
定期借家契約の場合は再契約可否を確認する
リースバックで長期間住み続けたい、期間を定めずに住む期間を確保したい場合、普通借家契約が適しています。
普通借家契約ではなく定期借家契約を結ぶと、契約を更新できず、期間満了とともに退去となるリスクがありますが、現状では、リースバック事業者は定期借家契約を採用する傾向があるとのアンケート結果もあります。
定期借家契約で住み続けることが不向きかというと、そうではありません。
リースバック事業者のなかには、定期借家契約ではあるものの、借り手が望めば重大な契約違反などがない限り再契約を前提とした定期借家契約に対応するところもあります。
再契約の可否を明記した契約書を結べるリースバック事業者であれば、定期借家契約でも長く暮らせる可能性があります。
ずっと暮らしたい場合は買い戻しを検討する
賃貸借契約の更新や再契約のほかに、リースバック事業者から自宅を買い戻す方法もあります。自宅を買い戻せば家の所有権を再び手にできるため、家賃の支払いが不要になり、いつまでも住み続けられます。
ただし、元はご自身のマイホームとはいえ、買い戻すには次の課題があります。
- まとまった資金を用意しなければならない
- 売却価格より価格が上がる可能性がある
- 契約内容によっては買い戻しできない場合がある
まず、リースバック事業者から自宅を買い戻す行為は「住宅売買」のため、まとまった資金を用意しなければなりません。買い戻しで提示される価格が、ご自身がリースバック事業者に売却したときの売却価格を上回る可能性もあり、手元の資金では叶えられない場合もあるでしょう。
また、買い戻し対応可能な期間を5年とするなど、買い戻しに制限を設けているケースや、利用者側が「買い戻しは可能」だと思っていてもそう思い込んでいただけで、実際の契約上は不可能となっているケースも考えられます。
買い戻しの可能性がある場合は、契約時に買い戻しの条件を確認のうえ、ゆとりある資金計画を立てておくことが大切です。
リースバックの買い戻しは以下の記事でも詳しく解説しているため、併せてご確認ください。
リースバックの契約に関する注意点
自宅の売却資金としてまとまったお金を手にできるうえ、そのまま自宅に住み続けられるリースバックに魅力を感じる方は多いかもしれません。
しかし、リースバックの契約に際しては、いくつか注意すべきポイントがあります。
家賃を支払わないと住み続けられない
リースバックを利用すると、自宅に住み続けるためには家賃を毎月支払わなければなりません。
一般的に、家賃は家の売却価格などから決定されますが、周辺の相場よりやや高めの設定です。家計の状況などに対して適した家賃でなければ、支払い続けるのが難しくなる場合もあるでしょう。また、一定期間後に家賃を増額する契約もあるため、注意が必要です。
後々の家賃の支払いが負担にならないように、契約時に適切な家賃設定となっているかどうか慎重な検討が重要です。家賃の支払いに不安がある場合は、契約前にリースバック事業者への相談もおすすめです。
修繕やリフォームは自由にできない可能性がある
住み続けるうちに新しい設備の設置やリフォームの必要性を感じても、リースバック前のようにご自身の判断で勝手に動くことはできません。
リースバック契約後は、自宅の所有権はリースバック事業者に移り、居住者は自宅を「借りている」状態です。リフォームなどの制限のない契約である場合もありますが、原則として貸主であるリースバック事業者に判断を仰ぎましょう。
そもそも、リースバックで決定される毎月の家賃には、家の修繕費や固定資産税なども加味されています。そのため、通常使用に支障をきたす状態で、かつ消耗品以外の修繕であれば、リースバック事業者に直してもらえる可能性が高いでしょう。
修繕費を不要とするリースバック事業者が多いですが、家の退去時には一般的な賃貸物件と同じように原状回復費用を求められる可能性もあります。
物件が第三者の手に渡ると住み続けるのが困難になる
契約条件によっては、リースバック事業者が物件を第三者に売却する可能性があります。
所有権が第三者の手に渡ると、それまでリースバック事業者との間で交わされていた賃貸借契約や家賃、買い戻しの条件など、契約内容が変更される可能性があります。
何年も住めると思っていたものの、家の所有者が変わり退去を余儀なくされるケースもあるので注意が必要です。契約時には、契約期間中の転売に関する事項を必ず確認しましょう。
リースバック後に物件が第三者に売却されることで発生する「オーナーチェンジ」は、以下の記事で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。
よくある質問
リースバックを利用して今の家に何年住めるか気になる方に向けて、よくある質問をまとめました。リースバックの利用を検討している方は、以下の質問と回答を参考にしてください。
Q. リースバックの契約期間を延ばすためにできることは?
普通借家契約であれば契約の更新ができるため、リースバックの契約期間を延ばすための交渉は不要です。
しかし、定期借家契約の場合は期間が決められているため、再契約できるように交渉する必要があります。
再契約の交渉は、契約期間が満了する前に貸主に希望を伝えて行います。再契約は契約の更新ではないため、家賃の値上げなどの条件が提示されるケースも少なくありません。
ただし、リースバック事業者と良好な関係が築けていれば、前向きに再契約を検討してもらえる可能性もあります。
Q. 長く住みたい場合、リースバック契約前に何を確認すべき?
リースバックを利用したあとも自宅に長く住み続けたい場合は、契約前に以下のポイントを確認するとよいでしょう。
- 何年住めるか、契約の更新は可能か
- 契約時に同意した家賃が変更される場合はあるか
- 契約期間満了後に再契約する場合の条件は何か
- 物件が第三者に売却された場合、賃貸借契約はどのように扱われるか
- 買い戻しをする場合の条件はあるか
希望に応じて「住み続けられる」リースバック事業者を選ぼう
リースバックを契約後に何年自宅に住めるかは、賃貸借契約の形態によって異なります。
一般的には2~3年の普通借家契約あるいは再契約の制限のない定期借家契約となっており、更新・再契約を繰り返すと、長く住み続けられる場合が多いようです。
安心して自宅に住み続けたいなら、リースバック事業者から買い戻す方法もあります。
しかし、まとまった資金や契約条件による制約などの課題が気になります。
リースバックを利用して長く住み続けたい方は、ご自身の希望にそった契約条件を提示する、信頼できるリースバック事業者を選ぶことが大切です。
AG住まいるリースバックではご自身の希望に応じて、慣れ親しんだ自宅に長く住み続けることも可能です。また、基本的に普通借家契約なので、自宅に長く住み続けたい方も利用しやすいでしょう。
住宅ローンの返済中でも対応可能なため、マイホームを手放したくないけれど資金面に不安がある場合にもぜひ一度ご相談ください。
