個人事業主でも銀行融資を受けることは可能!借入の流れや審査通過のポイントを解説

個人事業主でも銀行融資を受けることは可能
自営業やフリーランスで生計を立てている個人事業主の方にとって、 「自分でも銀行から融資を受けられるのか?」と疑問に思うことは多いのではないのでしょうか。
最初に疑問の答えを言ってしまえば、個人事業主の方でも銀行融資を受けることは可能です。
銀行融資を受けるためには、提出資料の準備や融資審査の通過など細かい条件をクリアする必要がありますが、 大前提として、個人事業主であろうとなかろうと「借りたお金をきちんと返済できる能力を有していること」が最も重要となります。
そのため、法人を設立していない個人事業主の方であっても、きちんと収支が黒字化しているなど、 返済見込み有りと銀行に判断されれば、融資を受けることができます。
銀行融資の種類
銀行融資にも、目的に応じていくつか種類があります。
以下は融資資金の用途とそれに対応した融資(ローン)種別を記した表です。
融資資金の用途 | ローンの種類 |
---|---|
事業資金 | 事業性資金融資(ビジネスローン) |
マイホームの購入 学費の支払いなど |
目的ローン |
生活費や娯楽など多岐な用途 | フリーローン・カードローン |
銀行から借入を検討されている方は、借入資金の用途に応じてローンを選ぶようにしましょう。
事業性資金融資(ビジネスローン)
事業性資金融資とは、事業向けの設備資金や運転資金を貸してくれる融資のことです。
他の融資と違い、事業計画書をはじめとする様々な書類や面談によって、事業の将来性を考慮して審査されます。
事業性資金融資で借入したお金は、通常の生活費として使うことはできません。
目的ローン
目的ローンは、限られた使い道に利用できる融資のことです。
目的ローンには、下記が挙げられます。
・住宅ローン・リフォームローン
・マイカーローン(自動車ローン)
・ブライダルローン
・教育ローン
・医療ローン・デンタルローン
・その他の目的ローン
目的ローンの最大の特徴は、比較的低金利で融資を受けられることです。
フリーローン・カードローン
フリーローン・カードローンは、利用目的が自由な融資です。
ただし、事業性資金としては使えません。
フリーローンとカードローンの違いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
銀行融資を受けるメリット

個人事業主の方が融資を受けられる金融機関は銀行以外にも存在しますが、ここでは銀行融資特有のメリットをご紹介します。
メリット①:比較的金利が低い
銀行で融資を受けるメリットとして、比較的金利を低く抑えることができる点が挙げられます。
銀行やローン商品の種類にもよりますが、銀行融資の金利相場はおおよそ1.0%~15.0%程度に設定されています。
一方、銀行同様、個人事業主が融資を受けることのできるノンバンク系ローン(信販会社や消費者金融)の金利相場は、 3.0%~18.0%と銀行よりも高めに設定されていることがわかります。
融資の種類 | 金利相場(年率) |
---|---|
銀行 | 年1.0~15.0% |
信販会社 | 年1.5~18.0% |
消費者金融 | 年3.0~18.0% |
金利が低いほど返済時の負担を抑えることができますので、この点は大きなメリットと言えるでしょう。
メリット②:限度額が大きい
銀行からの融資は、限度額(借入可能額)が大きく設定されていることも特徴です。
銀行によって限度額は異なるものの、事業性の資金であれば億を超える融資を受けられる場合もあります。
フリーローンやカードローンであっても、ノンバンク系のローン商品と比較して限度額が高額に設定されています。
メリット③:優良な借入実績を作ることができる
規模にもよりますが、大手の銀行などで事業性資金の融資受けることに成功すれば、次回以降の実績へと繋がることもあります。
特に銀行融資は、担当者の心象によって融資の可否が判断されることも多いため、 一度大手の銀行で借入ができれば次に融資が必要となった場合でも、審査等で有利に働くことも考えられるでしょう。
銀行融資を受けるデメリット

銀行融資にはメリットがある反面、デメリットも存在します。
融資先を検討する際は、こうしたデメリットにも目を向けて総合的に判断していきましょう。
デメリット①:保証や担保を求められることがある
特に事業に係るお金を借りる場合、銀行から担保を求められることは少なくありません。
担保には、人的担保と物的担保があり、それぞれ連帯保証人や株式等の有価証券、あるいは不動産などが担保の対象として求められます。
法人成りをしていない個人事業主の方にとっては、 連帯保証人や有価証券・不動産などといった担保の準備にはハードルが高く、借入を断念してしまう人も少なくありません。
ただし、融資の種類によっては担保を必要としないものあるため、用途に応じて適切なローンを選ぶことが大切です。
銀行融資の種類 | 担保の有無 |
---|---|
事業性の融資(ビジネスローン) | 必要なことが多い |
フリーローン・目的ローン | 有担保型・無担保型などに分かれる |
デメリット②:融資までに一定の時間がかかる
銀行で融資を受ける際には、申込みから振込みまでおおよそ1週間~1ヶ月程度の期間がかかります。
詳しくは後述しますが、銀行の融資審査には、 担当者との面談や決算書類の精査など複数の工程を経る必要があるため、融資までに一定の時間がかかってしまうのです。
すぐにでも借入を希望している方にとっては、これは大きなデメリットとも言えるでしょう。
銀行で融資を受けるまでの一般的な流れ
銀行で融資受ける場合は、以下の流れに沿って手続きを行います。
-
STEP1
- 申込み
-
STEP2
- 必要書類の提出
-
STEP3
- 銀行担当者と融資面談
- 事業性融資の場合のみ
-
STEP4
- 審査
-
STEP5
- 融資実行
銀行によって、細かなフローに違いがありますが、一般的な流れとして参考になるのではないでしょうか。
1.申込み
まずは借入を検討している銀行へ申込みを行いましょう。
事業性資金の融資を希望する場合は、支店の窓口に訪問し直接申込みを行う方法や、 担当者へ電話連絡を入れて手続きを進めてもらう方法が一般的です。
もし懇意にしている銀行担当者がいれば、その方に相談する方法もよいでしょう。
事業性以外のフリーローンやカードローンの場合はWEBからの申込みが主流です。
銀行のHP上で、いくつかの必要項目を入力することで申込手続きが完了します。
2.必要書類の提出
申込み後、必要書類の提出を求められますので、提出準備を行いましょう。
提出に求められるのは以下のようなものです。
▼主な提出書類
・本人確認書類
・収入証明書類
・代表者の印鑑証明書(事業性資金の場合)
・事業関連書類(事業性資金の場合)
具体的にどのような書類が必要なのかは、下記の表をご覧ください。
提出書類 | 具体的例 |
---|---|
本人確認書類 | 運転免許証 マイナンバーカード パスポート 健康保険証 |
収入証明書類 | 給料明細書 二期分の確定申告書 源泉徴収票 納税証明書 |
印鑑(証明書) (事業性資金の場合) |
印鑑(個人の場合) 印鑑証明書(法人の場合) |
事業関連書類 (事業性資金の場合) |
返済計画書 事業説明書等 |
各種書類の作成や準備にはある程度時間がかかる場合がありますので、 事前に用意しておくことでスムーズに手続きを行うことができます。
また、個人事業主の方でも税理士などの専門家に資料作成の依頼という方法もあります。
3.銀行担当者と融資面談(事業性融資の場合のみ)
銀行から事業資金の融資を受けるためには、銀行担当者と面談をする必要があります。
書類だけでは分からない定性的な人物像などを判断する重要な審査項目の1つです。
面談では主に以下のような質問をされますので、あらかじめ答えられるよう準備しておきましょう。
・融資したお金を何に、どのように使うのか?
・融資したお金をどのように返済するのか?
・自己資金はどれくらいあるのか?
4.審査
提出した書類(事業性の場合は面談も)を元に、融資の可否を判断する審査が行われます。
審査基準は原則非公開となっていますが、返済能力が高いと判断されるほど審査では有利に働きます。
事業性融資を希望する場合は、事業の将来性や収益源の蓋然性なども加味されます。
審査には数日から場合によっては1ヶ月ほどの時間がかかりますので、資金計画を立てる際はこの待ち期間についても留意しておきましょう。
5.融資実行
審査に通過することができれば、契約手続きの案内が届きます。
契約後にはご自身の銀行口座へと入金され融資が終了となります。
なお銀行融資の場合は、当該銀行口座を指定されることもあるため、事前に用意しておくことでスムーズな振込みを受けることができます。
個人事業主が銀行から融資を受けるための4つのポイント
個人事業主の方が、銀行から事業性融資を受ける際に、押さえておきたいポイントは4つあります。
なにも対策せずに申込みを行ってしまうと審査に落ちてしまう可能性もありますので、ぜひ押さえておきましょう。
▼押さえておきたい4つのポイント
・借りたい金額と根拠を明確にする
・返済計画を明確に伝える
・開業届、確定申告をしておく
・税金を滞納しない
なお、銀行カードローン審査を受ける際のポイントは下記の記事で解説していますので、カードローンの方を検討されている方はぜひご覧ください。
借りたい金額と根拠を明確にする
銀行での融資を希望する際、「いつまでにいくら借りたいのか」については明確にしておくことが大切です。
「できれば沢山借りておきたい」のような言い方ではなく、必要な金額とその根拠を明確に伝えることで計画性の高さが評価されやすくなります。
必要であれば、借入資金の用途を記した書類を作成し、提出書類に添えておくことで計画性の評価を受けることもできます。
返済計画を明確に伝える
銀行が融資の可否を決めるのは、申込者が確実に返済してくれるかどうかを見極めるためです。
確実に返済していくためのプランの説明が大切になりますので、完済までの事業の推移見込などをきちんと説明できる状態にしておきましょう。
こちらも、融資を受けた資金用途と併せて、事業関連書類として提出することをおすすめします。
開業届を提出しておく
個人事業主の方が融資を希望する際には、申込み前に開業届を税務署に提出しておきましょう。
開業届を提出しておくことで、事業所得とプライベートのお金を分けることができますので、融資審査でも収支状況を可視化した状態にしておくことに繋がります。
また、提出書類で求められる確定申告書も、開業届を出していることで作成が用意になるためおすすめです。
税金を滞納しない
税金や社会保険料、公共料金等を滞納した状態で融資申込みをしても、審査通過することは難しいでしょう。
特にプロパー融資を希望される方は、融資審査時に納税証明書を提出しなければなりませんので、税金の滞納状況を隠すことはまずできません。
もし各種税金や公共料金等を滞納している状態であれば、しっかりと精算した後に申込みを行いましょう。
プロパー融資とは?
プロパー融資とは、信用保証協会を通さず、銀行と借り手が直接契約を交わす融資形態を指します。 一般的に、信用保証協会を通さない分、審査はより厳格に行われる傾向があります。
銀行以外での資金調達方法
個人事業主の方が融資を受けられるのは銀行だけではありません。
むしろ、大手の銀行ほど審査基準が厳格なことも珍しくないため、中小企業や個人事業主の方にとっては、 銀行以外の選択肢の方が融資を受けやすいような場合もあります。
銀行からの融資が現実的でない場合は、第2、第3の選択肢として以下の資金調達方法も検討してみるといいでしょう。
・日本政策金融公庫
・私企業のビジネスローン
・カードローン
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫とは、100%政府が出資する政府系金融機関のことです。
小規模事業者や個人事業主への融資にも対応しており、低金利且つ高額の融資を受けることも可能となっています。
事業の状況によって様々な融資プランが用意されていますので、個人事業主の方にとっては有力な借入検討先になるでしょう。
簡易ではありますが、下記表は銀行融資との各種比較を行ったものですので、参考にしてみてください。
銀行 | 日本政策金融公庫 | |
---|---|---|
金利(年率) | 年1.0~15.0% | 0.05%~2.80%程度※ |
限度額 | 1億円以上 | 8000万円程度※ |
融資までの期間 | 数日~1ヶ月程度 | 1ヶ月程度 |
※日本政策金融公庫 国民生活金融事業より
参照:JFC日本政策金融公庫HP
私企業のビジネスローン
私企業、つまりノンバンクの金融機関が融資を行っているビジネス専用のローン商品です。
ノンバンク系の金融機関には、信販会社やクレジットカード会社、消費者金融などがあり、 いずれも融資を受けたお金を事業資金として活用することができます。
ノンバンク系ビジネスローンの特徴としては以下のような点が上げられます。
・融資までの期間が早い
・無担保で融資が可能なものも多い
・金利が比較的高め
なお、アイフルでも事業資金にご利用いただける「アイフルビジネスファイナンス」をご用意しています。
担保も保証人も原則不要で、お借入いただけますのでぜひご検討ください。
カードローン

主に銀行や消費者金融が発行する、利用用途に制限がないローン商品です。
事業者ではなく個人を対象に小口融資が行われますので、申込みから融資まで非常にスムーズに進行することが大きな特徴です。
特に一部の消費者金融であれば、申込みから融資まで、最短当日での対応も可能となっています。
ただし、カードローンは事業性資金の用途に利用できない商品もありますので、ご注意ください。
個人事業主の方はアイフルでのお借入もご検討ください
アイフルでは、個人事業主の方でも利用できる「事業サポートローン」「キャッシングローン」の2種類をご用意しています。
事業サポートローン | キャッシングローン | |
---|---|---|
利用用途 | 事業資金 | 不問 |
お借入可能額(限度額) | 最大500万円(無担保) 最大1億円(不動産担保) |
最大800万円 |
金利(年率) | 年3.0%~18.0%(無担保) 年3.0%~12.0%(不動産担保) |
年3.0%~18.0% |
融資までの時間 | 最短翌日 | 最短60分 |
いずれのローンでも、迅速なご融資が可能ですので、すぐにまとまったお金が必要という方にご利用いただいています。
また、キャッシングローンでは、初回契約から30日間の無利息サービスをご利用いただけるため、金利負担を抑えたお借入が可能です。
ご不明な点や、お借入に関するご相談については専用ダイヤルにて承っていますので、ぜひお気軽にご相談ください。
よくある質問
Q.個人事業主は結局どこで借りればいい?
A.用途によって適切な借入先は変わります
借入先の選定には、融資を受ける目的を明確にしてから、適切な金融機関を選択してください。
以下で、目的別に借入可能な金融機関をリスト化していますので、参考にしてみてください。
目的 | 借入先 |
---|---|
事業資金を借入したい | ・銀行の事業性融資 ・日本政策金融公庫 ・ノンバンク系のビジネスローン |
住宅や自動車購入のためにローンを組みたい | ・銀行の目的別ローン |
自由な用途で使いたい | ・銀行のフリーローン ・消費者金融等のカードローン |
Q.低金利で事業資金を借入したいときは?
A.日本政策金融公庫を検討してみてください
事業の信用状態や融資希望金額にもよりますが、全体として日本政策金融公庫からの融資であれば金利を低く抑えることができます。
日本政策金融公庫であれば、適用金利の区分が細かく決まっていますので、 どの程度の金利で融資を受けられるか、事前に把握しておくことも可能です。
Q.事業性資金融資(ビジネスローン)は開業資金に使えますか?
A.使えます
事業性資金融資は、事業立ち上げのための資金としてもご利用いただけます。
オフィスや店舗などの不動産賃貸費用から人件費、原材料費、広告宣伝費など、必要な費用は事業内容によって異なります。
Q.ビジネスローンは生活資金に使えますか?
A.使えません
ビジネスローンは、事業性のない用途として使うことはできません。
事業以外の目的で借入をご希望の場合は、カードローンをご検討ください