中間持株会社って何だ?拡大中!SESの実態に迫る
アイフルグループに5社あるSES※会社の中間持株会社として、2024年に設立された「AGソリューションテクノロジー(以下、AGST)」。
その役割について…正直なところ、ご存じですか?
今回は意外と知られていない?…中間持株会社の役割・機能について、AGSTの山口社長に聞きました!
※システムエンジニアリングサービス(System Engineering Service)。エンジニアをクライアントに派遣して、IT技術サービスを提供する形態。
プロフィール
山口一郎さん
96年新卒入社後、営業店配属からコールセンターが約15年、その後、審査・経営企画を歴任し、2018年よりデジタル推進部の立上げに従事、その後システム本部へ配属となり、現在に至る。
関西弁が印象的な山口社長。SES事業について気さくにお話しいただきました!
“中間持株会社”って何ですか?
―さっそくですが、「AGST」ができた背景を教えてください!
ほんまのこと言うと…中間持株会社ができる予定なんてなかったんですよ(笑)。
当初はアイフルグループの成長を見据えた時、単にSES会社を仲間に加えたいこという流れがあっただけだったんですが、中期経営計画でM&Aを加速して会社が増えていく時に、アイフルと直接カルチャーを合わせていくのは非効率いうことで、SES各社との間で調整役がいる方がスムーズやなと…、あとは各社共通機能の統合でコスト効率化も図って、それでAGSTができたんです。
―そもそも…なぜ「SES」に着目したのですか?
グループが目指す「IT企業への変革」と成長という観点ですね。
グループはデジタルの内製化を掲げて組織拡大を図っていますけど、専門人材の成長投資が大切な一方で、時間を買う点ではIT企業にグループ入りしてもらう方が効率がいいですよね。
それに、今後の人口減少や大手貸金業者の寡占状態を踏まえると、アイフルグループの主軸である国内カードローン市場は、今後の持続的な高成長は難しいですから…。それで、新たな成長ステージを描いてポートフォリオを多角化しつつ、グループシナジーを生み出せる分野はどこか…それを言ったら、IT・SESに着目するのは自然な流れやと思いますね。
―「中間持株会社」としてのAGSTの役割は何でしょうか?
アイフルグループの方針に基づき、SES各社の売上獲得ができるように導いていくことが、AGST最大の役割ですね。
グループのガバナンスに合わせて、AGSTがSES各社の経営を支援・成長させていって、PMO※を含む経営管理をはじめ、営業面や機能面の支援を主にしていますよ。
※M&A後の経営統合を実行するプロセス
実際、どんな効果がある?
―実際のところ、「AGST」ができた効果は何ですか?
AGSTで「営業支援」を始めてから、さっそく効果が出てるんですよ。
SESを横断的に管理するAGSTが、SES各社とアイフルのシステム開発案件をマッチングさせて、月で約4,800万円、年間だと既存3社※の収益2割増しにあたる5.5億円以上のインパクト創出に繋がっているんです。
それに、SES各社がグループのシステム開発を受託することは、アイフルのエンジニア不足解消になるだけでなく、アイフルにない「スキルを補う」ことも出来るんです。SES各社の収益のトップラインは上がっていますし、グループとしては他社の外部ベンダーに依頼するよりもグループ内での売上につながった方が嬉しいに決まっています。これって、まさしく「IT企業への変革」への寄与と「グループシナジーの体現」になっていますよね。
※AGST設立前のセブンシーズ・リブロック・セイロップ3社の収益。
―着実に効果が出ているんですね!その中の強みといえば何でしょうか?
保険システムだとか、アプリ開発だとか、SES各社で特化したスキルがあるので、案件に対しての柔軟性があることですね。これはグループ内の開発案件はもちろん、外向きにも生かされることですよ。
これまでは個社ごとで案件のお声がけはいただいていたんですが、人材面の都合でお断りすることも一部あったんですよ…。
でもAGSTによる顧客や案件管理ができるようになって変わったんじゃないかな。各社横断で案件の紹介ができますし、グループとして選抜メンバーを構成して、大規模な案件のコンペに挑むことだってできますからね。
―案件に合わせた専門集団ができるんですね!
ほんまはまだやけど(笑)、将来的には実行したいですね。
ただ、それを叶えるには、SES会社をもっと増やす必要があるんです。知識やスキル面で幅を広げることも…ですけど、そもそも集約効果によるリターンを考えるのであれば会社数は多いほどいいですよね。
ほんまのとこ、今の事業規模を考えても、ここで「M&Aを止めるなら意味がない」でしょ(笑)。
―さらにSES領域を拡大する見込みなんですね!
正味、グループイン後の事業成長を考えると、まだまだグループ内案件に依存する割合が大きいんですよ。
グループのシステム内製化に寄与でき、かつグループ内案件で安定した利益創出もできる一方で、外の案件も増えていかないと、それ以上の成長は難しいですよね。
だから、今よりも多くの案件を受け入れる体制を作るために、もっと会社を増やすべきなんやと思っています。
SESの事業規模はまだ小さいながら、本年度は昨対比1.2倍近くの利益を獲得できる見込みで順調に推移しているので、成長の過渡期やと思っています。
この調子で事業計画を進められたとして、最初にセブンシーズがグループインしてから約2年半。それから今は5社まで増えているので、次の3年で10社に増えてもおかしくないですよね(笑)。
―今後への期待感が募りますね!
ほんまにそうなっていくと思うよ。
ちなみにやけど、セイロップには、トレンドである「AI」に特化したエンジニアもいますからね。大手企業と取引実績が多いセイロップは、アイフルのAI案件でも主軸になっていて、AIに詳しい人材がグループにいるのはかなり武器やと思いますね。
特にグループ内案件においては「IT企業への変革」とシナジーを生みながらM&Aグロースにも寄与できるんですよ。だからこそ、リソースをいかして、まずは内部需要に応えて利益を伸ばすことが優先に思っているんです。
そうして内部ニーズに応えていくことで、外向きスキルも磨かれていきますから。気づいた時にはグループ・個社でもIT技術をいかした拡大・成長環境が整っていると思いますね。
ガバナンス整理って、どうする?
―M&Aで、異なるカルチャーを合わせるのは大変どころではなさそうですが…。
そうやねん、その大変さが分かってもらえへんのよ(笑)。
極論、アイフルグループのカルチャーに染め上げる方法も1つに思うねんけど…、これまでのSES各社の経緯や創業者の思いや夢をサポートする気持ちがあるので、それはしないです。
それに、既存社員の方だってグループインは後発的な出来事ですから。それぞれの理由や背景を持って“その会社”を選んで入社しているので、そこで活躍する社員の目的や志気を失わせることだけはしたくないんですよね。
今、ホールディングス化の動きもありますけど、僕としては、ロゴや社名も、できればそのままがええなと思っているんですけど…。
―基本的には各社の意見を尊重されるという姿勢でしょうか?
計画された利益が出てることが大前提であり、その中で各社のオリジナリティが生かされる形に期待してます。
ただ、グループ活動において、SES各社へ個別要望が入ったら混乱を招いてしまうので、窓口であるAGSTがサスペンションとして、制度やルールなどを調整してるんですよ。
加えて機能支援という点で、コーポレート機能としての契約・事務などをAGSTが担っているので、各社には事業だけに集中してもらえるようにしてるんです。
―各社には、これまでの“稼ぎ方“がありますからね。
そうやね…。そもそも金融とITで業界も違うので、営業スタンスであったり、計画の立て方は特に違いますよ。それぞれの「当たり前」も違いますからね。
正味…きちんと計画を守って利益目標を達成していれば、独自のやり方でええと思うんですよ(笑)。それで、逆に儲からないのであれば、それは方法が間違っているので、当然見直しが必要になるでしょう。
グループSES、事業の今後は?
―さらにSES領域の拡大を見据えるなか、意識されることはありますか?
これまでは土台づくりのフェーズでもあって…、グループインする会社が、うちのカルチャーにマッチするのか、という視点が強かったかもしれないですね。今後はSES事業を加速するフェーズになるので、既存各社と共同して成長していける姿を対外的にアピールすることも大事な要素になると思います。エンゲージメントの向上も大事になるので、一体感を醸成していけるようにしたいですね。
―AGSTの今後のありたい姿はありますか?
まずは、グループの「IT企業への変革」を推進させて、ITプロダクトを通してお客様への体験価値を高めることに貢献していきたいですね。今後グループが拡大・成長するにあたっても、人員もスキルも足りていないピースを補っていくことは、より増えるんじゃないかと思います。
もう一つは、グループ利益にインパクトがある存在になることです。
今期、SES5社の経常利益は3億円ほどを見込んでいます。せやけど、進行中の中期経営計画ではグループの今期着地として330億円が目標であって…。330億に対して3億って…、ないのと同じだと思っているんですよ、正味…(笑)。
最低でも経常利益で10億ないと…存在しないも同然やと思うんです。
既存各社の成長と新たな会社のグループインにより、2~3年後のSES事業は今の約3億円から7億円ほどに成長する見込みです。そこに、M&Aが進めば近い将来には10億達成も可能になりますね。いち早く、SES事業を拡大させて、2桁億円の利益を創出することで存在感を示したいです。

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