

ベンチャー企業と共にアイフルグループの未来を創ることがCVCとしての使命

アイフルグループのCVCであるAGキャピタルでベンチャー企業への投資を行っている松尾 崇弘。「グループとのシナジー創出という使命はもちろん、スタートアップのエコシステムを築く一翼を担えることがやりがい」と語ります。松尾が感じる、アイフルグループならではの成長できる環境、仕事の醍醐味に迫ります。
キャピタルゲインと事業シナジーの2軸で投資先を選定。最後の決め手は経営者の人柄
松尾が所属するAGキャピタルは、アイフルグループのCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)として、ベンチャー企業への投資を行っています。
「投資をするわけですから、当然キャピタルゲイン(投資額と株式売却時の売買差益)の獲得は必須です。ただ、CVCが独立系のVCと異なるのは、キャピタルゲインだけではなく、自社グループとの事業シナジーを生み出せるかどうかが投資の重要な軸になるという点です」
1985年の設立以来、情報・通信分野、流通・サービス分野、環境・ヘルスケア分野を中心に、累計で600社以上のベンチャー企業に投資してきたAGキャピタル。2016年からはアイフルグループのCVCとして投資を開始。CVCとしては、累計で80社超の企業に投資しています。
その中で松尾は、新たな投資先の創出から投資後のサポートまでを一気通貫で担当しています。
「投資先は、他のCVCやVCとのネットワークから紹介を受けたり、ピッチイベントに参加したりして探します。投資の検討段階に入ったら、投資先の企業価値や経営の実態、リスクなどを調査するデューデリジェンスを実施。その後、グループ会社と引き合わせた上で協議し、シナジーを生めそう、キャピタルゲインを得られそうだと判断したら、投資委員会での決定を経て出資に至ります。
当社はスピード感があり、1カ月から1カ月半ほどで出資が決まることがほとんど。出資後は、定例ミーティングなどを通して金融まわりの課題が出てきた際などに、グループ企業とつなぎ合わせることも。少数精鋭の体制で80社超を見ていることもあり、積極的に経営に関わるというより、必要に応じて支援するというスタンスです」
キャピタルゲインとグループ会社とのシナジーという2軸で投資先を選定するとはいえ、当然ながら利益が出るかどうかは不確実。さらに、まだ軌道に乗る前のシード、アーリーステージの企業の場合、時には事業を方向転換することも。
そこで、マクロ的な視点から投資するか否かを判断することはもちろん、「人を見ること」が大事だと松尾は話します。
「経営者の事業への理解の深さや人となりは、重要な判断材料です。そうは言っても、私のようにまだ人生経験の浅い20代では判断しきれない部分もあります。そのため、投資の経験が豊富な役員らの知見を借りながら、投資先との関係を築いています」

選択肢の多いキャリアに惹かれアイフルへ入社。常にひとつ上の視座を持ちながら成長
松尾がアイフルに入社したのは2017年。大学は経営学部だったこともあり、就職活動では金融業界を中心に幅広い業界を検討していたと言います。
内定をもらったのは、証券会社とシステム会社の営業職、そしてアイフルの3社。「正直、証券会社やシステム会社は年収も高く魅力的でした」と話す松尾ですが、それでもアイフルを選んだのは、将来の選択肢の多さに惹かれたから。
「それぞれの内定者交流会などに参加していろいろな話を聞く中で、他の2社は営業職としてのキャリアパスや将来の年収が明確で、夢のある話だなと思いました。ただ、自分が本当に営業に向いているかはわかりません。
アイフルは職種もさまざまありましたし、今の私のようにグループ会社への出向という道もある。自分が望めば幅広い選択肢があることに魅力を感じて選びました」
入社後は営業店に配属され、個人向け、法人向けの営業や個人事業主への貸付などを担当します。2年ほど経ったころ、Webからの申込みが主流になったことに伴い、配属された営業店が閉店。海外事業部に異動します。
「主にタイにあるグループ企業の日本窓口として、計数管理や営業施策の提案などを行っていました。それまで営業しかしていませんでしたから、管理業務や海外の状況についての知識を吸収することが大変でしたし、営業部との文化の違いに驚いたこともあります。
でも、それを超えるおもしろさ、自分の成長を実感できる環境があり、苦労したという感覚はありませんでした」
その後、保証事業部で銀行や信用金庫などへの保証営業や新規施策の立案、地方銀行への出向を経て、2022年にAGキャピタルに出向。同時に課長補佐に昇進するなど、会社からの期待の大きさが伺えます。松尾自身、仕事をする上で「ひとつ上の視座を持つこと」を心がけていると話します。
「常に成長したいという想いがあるんです。私は、立場が自分を成長させてくれると感じています。成長を求めるのであればひとつ上のプレイヤーに上がっていくことが必要です。
そのためには、一般社員の時であれば係長の視座、今であれば課長の視座というように、現状より高い視座を持って業務に臨むことが大事だと考えています」

経営者のバイタリティに成長を確信。約1年かけて出資を実現
AGキャピタルに出向しておよそ2年。多くのベンチャー企業への投資に関わってきた中で、松尾にはとくに印象に残っている企業があります。それは、出向間もないころに出会ったヘルスケア業界の会社。サプリメントをパーソナライズして、その人に合った栄養素を届けるというサービスを提供していました。
「近年、“パーソナライズ”は注目のキーワードですし、そのために必要となる技術力やオペレーションに優位性を感じ、事業の伸びしろがあると判断しました。ただ、それ以上に惹かれたのは経営者のバイタリティです。
もともとは別の事業をしていたところから紆余曲折を経てこの事業を始めたものの、当初はまったく売れず。けれど、販売先を個人からスポーツジムへ方向転換するなどして、売上を拡大し始めていたのです。
大変な苦労をしながらも軌道に乗るところまで事業を引っ張ってきたバイタリティ、そして情報交換を重ねる中で感じた人柄の素晴らしさに、『この会社なら期待に応えてくれる』と確信しました」
しかし、出資を決定するまでの道のりはスムーズではありませんでした。社内での反応はイマイチだったのです。
「私は『この会社は本当に素晴らしい』と感じていたので、成長性の高さや経営者の人となりなどを何度も伝えました。1年ほど地道に続けるうち、『それなら会ってみようか』という話に。その後、無事に出資に至った時には、大きな達成感がありました」
困難があっても前を向き、ゼロから事業を生み出す経営者の力に「自分も頑張らないといけない」と刺激を受けることは、この仕事の大きな魅力だと松尾は話します。加えて、スタートアップのエコシステムを築くことに携われる醍醐味があると続けます。
「ひとつの企業ができることは小さいかもしれません。でも、『この会社はいい』と思えば共同出資することもできます。CVC、VCのネットワークを通してスタートアップのエコシステムを築く、ひいては日本経済を活性化するための一翼を担える。おこがましいかもしれませんが、それは本当にうれしいことです」

いつか新規事業立ち上げに挑戦したい──変化しているからこそチャンスがある
ベンチャーキャピタリストとしてのキャリアを歩み始めた松尾。CVCとしての使命を果たすため、思い描く目標があります。
「AGキャピタルは、あくまでもアイフルグループの一員。グループがより成長していくためには、海外に打って出ることと、M&Aも含めた新規事業の創出という2つがカギになるはずです。その新規事業を生むための重要な機関が私たちだと考えています。
アイフルがFinTech企業をめざすために、グループとのシナジーが生める協業先を見つけることが私たちの使命。そして、この経験を活かして、いずれは新規事業の立ち上げに関わってみたいですね」
近年、行政がスタートアップ支援を強化していることもあり、CVCやVCへの注目度も増しています。ベンチャーキャピタリストをめざす人は、アンテナを高く張り巡らせて社会の動きを知ることが大切だと松尾は話します。
「会社の指標となる財務を理解することはもちろん、一番大事なことは自分自身が興味を持って積極的に情報をキャッチしにいくこと。
たとえば見たことのないCMが流れたら、この会社はどんな会社なのかと興味を持つだけではダメで、どの会社と資本関係があるのか、主軸のビジネス以外にどのような事業をしているのかなどを調べてみる。そういった習慣を身につけることが大切なのかなと思います」
もちろん、やりたいことが明確になかったとしても、拡大を続けるアイフルグループには「チャンスがたくさんある」と語る松尾。自身の経験も踏まえながら、就職活動をしている人にこんなアドバイスを送ります。
「たくさんの会社や仕事を調べても、実際に働いているイメージを持てないという人は多いと思いますし、自分の適性なんてわかりません。今、何がやりたいのかが明確になくても、『いろいろなことに挑戦してみたい』『おもしろいことがやりたい』と思っている人にとって、アイフルグループのような変化している会社はチャンスです。
会社が成長しようと動いているからこそ、努力している若手にチャンスが回ってくる環境があるのだと思います。アイフルはこれからさらに変化していくのではないかと、私自身も期待しています」
常に向上心を持ち、苦労も楽しみながら成長してきた松尾。グループの発展に貢献するべく、さらに自らを高めながら、可能性を秘めたベンチャー企業との出会いを探します。
